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レビューだヒュー!(Philips hue)

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周囲の光を操る生き物って、人類だけですよね。


ホタルのように発光する生き物はいるけど、あれらは他者に向けて放たれる光です。自らが照らされるための光をつくるのはヒトだけだと思うんですよ。

だから、何がなんでもそうしたいと思うのがヒトの本能なのかもしれないのですが、そのわりには照らす光はイマイチ進歩してないと思います。小さな火、電球、蛍光灯…。LEDが登場した今でも3世代前のテクノロジーが現役で活躍中なわけです。これが意味していることはヒトの本能が何とかして自らを照らしたいと願う一方で、照らす側である光に対して他の生き物と同じように従順であり続けるという、ある種の葛藤のようなものを感じます。──でもそれも今日まで。これから紹介するのは単なる照明器具かもしれないし…、ヒトの精神が少しだけ進歩したということかもしれないです。

壮大な前置きで始めましたけど、今回はついに日本でも発売になったPhilips社のhueという照明器具のレビューをしてみたいと思います。欧米では先行して販売されていたので英文でよければレビューはたくさんありますし、YouTubeを探せば音楽に合わせてピカピカモワモワ光るお部屋の動画だって見ることができます。hueはスマートフォンなどから操作できるLED電球なので、アプリとの組み合わせによっては音楽に合わせて光の色を変えたり音声コマンドで点灯させることができます。基本機能だけでもスマートフォンのGPSなどを頼りにして家に近付いたら点灯・離れたら消灯といったことができます。

ただ、そういった機能はいかにも派手で話題になります。なので、私が紹介するのはそうではない部分です。

事実として、私は理想の照明器具を何年間も探していました。それは体調の管理のためにです。私はいわゆる冬季うつ──季節性の感情の変化があって毎年苦労しています。幼少の頃を関東で過ごして、今は日本海側の新潟市に住んでいるせいもあるのかもしれません。

新潟市というのは雪国気候の土地です。行き来して暮らしたことのない人に気候の違いを分かりやすく言うと、関東で冬と呼んでいる季節が、雪国では秋と呼ばれています。関東に暮らしている人だって冬になると寂しいような気持ちになるでしょう?でも雪国にはその先の季節があるんです。たまったもんじゃない!

で、冬季うつを改善する方法には大きく分けて2種類の光を利用した方法があります。1つは太陽光のように強烈な光を当てる方法。これは顔面から20cmくらいの距離に置いた何本もの蛍光灯を十数分は見つめるんですが、そう、明らかに不快です。ただでさえ朝起きにハンデを負っているのにそんなことをしている時間もないです。そして器具が4万円くらいします。

もう1つの方法はディマー・タイマー照明によるもの。設定した時間に徐々に明るくなる照明で朝陽を再現する方法です。近年主流なのか、1万5千円くらいの小型スタンドのようなタイプもあれば、5万円もするようなシーリングライトには必ず組み込まれている機能です。これらはなかなかよいのですが設置する場所や価格にまだ不満がありました。また、これらの療法理論は知られていても数年前は器具が入手しにくかったので(世界的にみて緯度の高い地域で開発が盛んなのです)、仕方なくパソコンのアプリを組み合わせてディスプレイが徐々に明るくなるような目覚ましタイマーを自分でセットしていました。こんなふうに、苦労を解消するためにさらなる苦労がいるなんて、ちょっとおかしいでしょうね。

Philips hueのスターターセットには3個のLED電球が入っていて、それぞれを時間をずらして徐々に明るさを増しながら点灯させることができます。それもごく初歩的な機能で、です。もう少し工夫すると1個目はフットランプとして朝焼けのようなパープルオレンジの灯りを徐々に点灯させ、2個目は時間をずらしてクリーム色の灯りのフロアランプを、3個目は天井を強く照らすブライトホワイトの灯り… というような設定ができます。朝の支度の時間には全てのランプをホワイトにして、家を出る時間に向けて1個ずつ消灯していくなんてこともできます。そして、全く同じランプで夜は陽が落ちるかのような別の演出をすることも可能です。

正直なところ、自分を照らし包む光をコントロールするというセンスが養われてないので設定は少し頭がこんがらがる感じがします。例が一般的ではないかもしれませんが、動画編集ソフトや作曲ソフトを操るときのセンスに近いです。各ランプが何色でいつどのように点灯・消灯するのかを、さながら作曲家かオーケストラの指揮者が音で物語を紡ぐかのように想像してつくっていく感じです。ただし、操作方法はそれらのソフトとは全く違います。hueをコントロールするいくつかのアプリを使ってみましたが、有料のものでさえ改善の余地があるでしょう。

その他のことでは、LED電球そのものが高価なためスターターセットの価格を押し上げている(2万6千円)だとか、iPadやiPhoneと無線LAN環境が必要だといった点も障壁になっていますが、将来的にはこれが普通の照明になるという確信すら感じています。今までの、暗いから灯りを点けるという生活スタイルから、自分が活動している時間には灯りが点いているのが当然という生活スタイルになります。hueは都合よく昇り沈む太陽です。hueのある室内空間においては暗くなったら寝るという原始的な本能にしたがって生活を送れるはずです。現代の社会に影響された生活リズムと自然のリズムの間に入ってストレスを和らげてくれると思います。

今後のことを具体的に考えたとき、発展が期待される機能としてはIFTTTがあります。If this then that──こうなったときは、ああしてくれ、という設定をするサービスとでも説明したらよいでしょうか。いくらでも面白いことがてきそうですが、例えば聴覚障害のある人の家で使うアイデアなんてどうでしょう。メールなどのテキストメッセージが届いたら、ランプを青色に点灯する、というようなことができるでしょう。ランプをパソコンのディスプレイの裏に隠すように設置しておくとさらに直感的でしょうね。

音声コマンドも今後に期待です。今はまだ日本語では操作できないみたいですが、海外の動画を見ていると Turn on kitchen's lamp(キッチンの灯りを点けて)というような音声コマンドも実際に機能しているのがわかります。日本語に対応すれば身体障害のある人も暮らしやすい住環境をつくれるかもしれないです。

私自身がまだまだhueを使いこなせていませんが、ファーストインプレッションとしてはこんなところです。また気がついたことがあれば記事を追加したいと思います。

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