今週の発見。気に入った写真を調べてみるとsigma 35/1.4AのF3.5で撮ったものが多いという事実。F3.2〜5.0くらいの描写がジンワリくる感じ。解像が上がりきる手前のF値が最も立体感があると思う。
そんなこと書きつつ、今回は別のレンズの話。flickr見てるとsigma 24-105で撮った写真いいなって。
sigma 24-105 F4って、レビューを探すと書いてることがマチマチなんですね。でも大まかに分けると2つの方向性がある。1つはニュースサイトの単発レビューと それを参考にした意見で、「まぁ、いいよね。でも35/1.4Aのような衝撃はない」みたいな、相対的に低めの評価をするケース。もう1つの方向性は実際に所有して長期間使ってる人の評価で、こっちは大満足!みたいなケース。
どっちが正確な評価なのか?といったら、それは後者だろうと思います。というか比較レビューのいくつかはトラップだな、と思ってる。まずそれをご説明したい。
sigma 24-105 F4の比較対象にはcanon EF 24-105 F4Lがしばしば出てきます。nikonは焦点距離が違うから真っ向勝負という意味では比べられないということでcanonのほうが取り上げられやすい。
で、sigmaか canonか?という点についての結論を先に書くと、画質の中でも解像という部分に関してはsigmaが圧倒的に良いです。これは写真を見ても、DxOあたりの詳細データを見ても、ハッキリしてます。canonのほうは設計が古いから仕方ない部分があって、広角側は良いんだけど50mm以降は今のボディの基準についてこれてない。写真から「懐かしさ」が にじみ出ちゃってる。sigmaのほうはそこを改善してて、クリアだし、ズームの中間域の写りでは大きく引き離してる。そこがわかってて買うなら大満足なんだと思う。canon 24-70 F2.8L IIと比べてどっちにするか?って話なら迷うけど、24-105 F4Lとは画質面では比較にならないです。
トラップと書いたことの説明に進むのだけど、第一には職業人と趣味人との道具選択の違いが混乱を招いているんじゃないかと思う。確かにcanon 24-105 F4Lはプロもよく使ってます。スタジオに派遣を頼むと5D2(とか3)に24-105 F4Lを着けたカメラマンが来ますよ。デザイン会社や出版社もこのパッケージを採用してるところが多いと思う。
でもプロが使ってるから良い写真が撮れるって意味じゃない。これを採用する理由は「失敗できないから」「負担が少ないから」です。派遣のカメラマンはアウェイでの撮影なので対応が広くて安全な策でいきたいし、デザイン会社や出版社の人は撮影がうまくない。私も兼業だから自覚してるけど体がフニャフニャしてますからね。スチル専業で10年やってる人は足首から頭までの関節がビタッと止まります。まるで彫像のように。その域に達していない人が使っても大丈夫なのがcanonのパッケージということです。画素が抑え気味でブレやピンボケが目立たないし、高感度に強いからシャッター速度を上げられるのも使用者のニーズに合致してるんです。
それにcanonは画作りが揃ってるから業界では使いやすい。例えば大きな特集記事の中で写真のムードがコロコロ変わっては困るし、今号と次号で違っても困る。カメラマンは何人もいるから、全員が同じ道具を使ってくれるとプリプレスとしては都合がいい。だからそういう業界ではcanonで揃えるのがマストとは言わないまでもベストではある。フォトジャーナリズムなら撮影者の自由な表現ができるから、そういう人はnikon使ってたりするという話。
そんな理由で、どうしてもcanonのボディが必要なんだけど、24-105 F4Lの甘さが気になるというレベルの人や、canonは面白くないという人(仕事に合わせるために自己表現を抑えて使ってるから不満を持ってて、プライベートではcanonを外してる人)、こういう人たちはsigmaを選んだら楽しいと思う。けど、職場の機材だと会議の結果「純正揃え」になりやすいんだけどね。窓口が1つのほうがサポート頼みやすいから。canonはプリンタまで揃うし。
あと、何といっても償却終わってる物品を使い倒すのが商売の基本なわけで、エンドユーザー(この場合は読者とか)が写真に文句を言わず、かつ機材が頑丈で壊れない限りは どんなに設計が古かろうが使い続けます。sigmaはもちろん理解しているから資産管理の分け目となるラインで勝負してるんだと思う(sigma製品の海外での実売価格はレート換算すると日本より若干高価だったり、値下げが遅い。sigmaが日本で認められようと頑張ってるように感じる)。
でもって、canonもそのへん理解してるから24-105 F4Lをディスコンにしないんだと思う。これを未だにLレンズとして置いといていいのか?ってのはcanonの技術者は一番よくわかってるはずだけど、戦略として効いてるうちは経営陣は引っ込めないで置いておくと思う。ディスコンにした上で24-105 F4Lを名前に含む新型を出せば市場は買い替えに動くし、その時にsigmaより明確なアドバンテージのあるものを出さないといけないから、canonは作ってる最中かも(と期待も半分)。
今は、先手sigma、後手canonで、何が出てくるか?ってタイミングかも。そもそもsigmaの一手のせいでcanonは引っ込められない。sigmaの戦術としては他社の古いレンズのうち、ディスコンになってないものに被せて発表して「そろそろ刷新しようかな〜」とゆるく計画していたものを突然レースにできる。他社にとっては、もし乗り換えが起きてしまうと逆転のチャンスはしばらく来ないから焦って開発するのもうまみがない。古い設計のまま現行品として置いておくしかないんじゃないかな。canonは高画素機を主流に乗せるタイミングで24-105 F4Lを刷新してくると思う。その時、sigmaと差をつけるために24-120にするかもね。二大メーカーが標準ズームは24-120と掲げれば24-105は古臭く感じられる。canonから高画素機が出ればsigmaの良さがハッキリ見えるから、canonはひねりを加えてくるんじゃないかな。
sigmaは初期のレビューが響いてか乗り換えを掴めなかったように感じるんですが、逆に考えると在庫があるはずなので次の勝負の備えはできてる。その分、他のレンズの生産に注力できるという見方もあるのかもしれない。ラインナップを広げていった際に生産が追いつかないというのがsigmaの弱点のような気がしますし、大手が太いマスプロ戦略を取り戻すようなことがあると事態が変わってくるよな、って思います。
いろいろ書き綴ってみましたが、複雑な事情があると思うわけですよ。結局、社用のcanon 24-105 F4Lをsigmaに置き換えるのはハードルが高いのかもしれないんですが、これにつられて趣味のかたがsigmaを選ばないのは残念というか可哀想というか、画を見てcanonのほうが好きならいいんですけど(業界で使ってるせいで見慣れてる画だから一般の好感度は高い)、でも「みんながこう言ってるし」みたいなので選んでたら趣味が楽しくなくなっちゃうんじゃないかと余計な心配をしてます。
さて、今回のタイトルは「sigma 24-105 F4 が欲しい話」だったわけで、このレンズを軸に思いつくことを出しました。このブログで書いてきたパターンから分析すると、私がこういうことを書いてるときは「そろそろ買う」というサインです(笑)
いろいろ想うってのは、気になって仕方ないからですよ。注文しちゃおうかな〜。
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はじめまして、こんにちは。
返信削除このレンズ欲しくて11月1日に注文したのですが、まだ届きません。
記事の中の「生産が追い付かない」という状況のようです。
そんな中24-105 f2.8-4とかニコンの24-70の更新のうわさが聞こえてきて心穏やかでいられません。
HJさん、こんにちは!
削除新製品の噂は気になりますね。でも仕様が似ていても性質は異なるでしょうから気にしすぎることもないと思いますよ。
このレンズは広角から中望遠まで安定して使える真正ズームタイプです。類似のズームの中には中間の焦点距離のときに画質が著しく低下するなどして使い方に注意が必要なものもあります。Sigmaの場合、コンテンポラリーのズームは焦点距離と絞り値による描写の変動が大きいです。
新製品がどんなものであれSigma 24-105は良い選択だと思いますよ!