もちろんカメラマンは他にもいてですね、校舎内を中継するセットなんかは外部の人にお願いしているみたいなんですが、それとは別に部署ごとに様々なカメラマンがいるんですね。写真部の学生に依頼しての撮影部隊だったり、その部署の教職員だったり。そういった人たちは広報用の写真は撮っておいてくれるので、私は自分の部署の学生たちだけをアルバム用に撮影しました。
さて、反省会(ひとりだけど)をするにあたって大切なことはきちんとデータを取り上げてみることだと思うんですね。なにを改善できそうかなんて思い当たることはある。でも、本当にそうか? ってのを明らかにするのが大切。もしかしたら気分だけかもしれない。判断に好き嫌いをはさむのは最後までとっておきましょう。まずはしっかりと現実をみていくことにします。以下からはじまり〜。
撮影枚数は1時間に100枚のペースだと思ったが…
イベントは2日間あって、そのうち1日目は半日のみ。1日目が終わった時点でカウントしたときは1時間当たり100枚くらい撮ってました。改めてみるとトータルで575枚でした。イベント全体としては8時間ほどで、私が撮影もしていられたのが6時間ほど。
私はワンシーンごとに3枚ほど撮りますから、仮にピッタリのペースで600枚を撮っていたとしたら もう8シーンほど多く撮れていた計算です。会場の一部屋ごとに学生は4人ほどいましたので、8シーンといえば二部屋分を軽めに撮り直すくらいのボリューム。決して少なくない機会です。
このような結果になった原因は、4時間を過ぎたあたりで おおむね撮り終わっていたから。というのと、配置などの関係で撮るのが難しい人について 粘って撮影していたからだと思います。
やっぱり人物って難しいな、といいますか、しかも積極的にかかわって撮るのでなくシャッターチャンスをみつけなきゃいけなかったので、10分ほど留まれば撮影できた相手もいれば、イベント中に何度も足を運んでやっと撮ったという相手もいました。限られた時間の中で、今回は30名ほどの人物をもれなく、かつ、それぞれ良いショットを得るというのは大変だ、と思いましたね。遠足のように先回りして待っていれば全員がカメラの前を通るというものでもなく、来場者の顔は避けなければいけませんし、それでいて状況がわかるようにもしなければいけない。カメラマンって大変、と思いました。
文章やイラストはあとからつくれるんですが、写真ってその瞬間にしか得られないんですよね。すごく瞬発力がいる。あ〜、今 部屋の反対側にいれば撮れたのに、と思ったりもしました。じゃあといって次の機会を待てるような時間もないんです。そんなわけで、まだ基準以上の写真を撮れてない相手のところへ戻っている時間が徐々に長くなっていましたね。気をつけないと撮りやすい相手ばかり撮ってしまうかもしれないので注意、と。まんべんなく良いショットを見せられないと不公平で不愉快になっちゃいますからね。そのへんはカメラマンの責任だと思っています。
絞りは4と3.5がひとつずつ、3.2が5つで、あと全部2.8開放
これは由々しきことかな? 実際、失敗もありました。5.6くらいで撮ったほうがいい状況もあった。ただ、全体的にはうまくいってました。深度が浅いほうが来場者の顔を写さずに対象の顔だけ写せますからね。
でもやっぱり反省することとしては、私がまだSD1Mというカメラのことを わかっていたけど わかっていなかったことだと思います。
今回は環境の光だけでの室内撮影だったのでISOを100-400のオートにしました。また、あまり もたついていられないので露出モードをオートにすることも多かった。するとですね、今回の環境でのSD1Mの傾向として、まず絞りを開こうとする。次にシャッタースピードを下げ気味にして、感度を上げるのは最後の手段という感じなんですね。
先にリザルトを書きますと、撮影した575枚のうち、納品前の選考に残ったのは94枚、最終的には1人2カットを目安としながら数人ずつの集合写真も入れて79枚に絞りました。この94枚の時点で、シャッタースピードが1/60秒以上のものが58枚でした。
言い換えると0.016秒以上のタイミングで撮った写真が61%を超えていた、と。直感的には瞬間と思えるタイミングですが、この程度の速さでは人物の身振り手振りや表情の変化・まばたきなどが高確率で写ってしまい、微妙なブレになって見えてしまいます。どうやらカメラ側には手ぶれを防ぐという基準はあるようですが、被写体ぶれはオートでは防げないということがいえます。
多少のノイズは甘受するとして、もっとシャッタースピードに注意しておけば6割の写真はより良いものになったかもしれず、また連射枚数を抑えられることで選別も簡単になったことでしょう。部分的なブレは拡大しないとわかりにくいとあって、選別の手間は大変なものがありました。
ISO200以下の写真が51%
前項の結論と相反しそうですが、オートはSD1Mの好ましい感度をかなり守ってくれていました。このおかげで自然な写真が得られたといえます。
だから難しいところで、1/200秒くらいで撮りたければISO400になることが絶対ということがわかってしまいます。あとに残された方法は絞りをもっと開けるしかない。それはつまりレンズを変えるしかない…!
18-35mm F1.8 ならば理論上は1/125秒 ISO200くらいで撮れるようになる計算です。枚数にして5〜6割の写真に影響していた要素なので十分に効果を期待できるでしょう。深度が浅くなるぶん難しくなりますが。そして検討のためには まだ見落としがある。そうですね?
使用した焦点距離の割合
これはちょっとグラフをつくってみました。横軸が焦点距離で、縦軸はその焦点距離で撮った枚数です。94枚分の内訳です。
グラフから 私は35mm(換算52.5)の標準域を基本にしているのがわかります。次に多いのが50mm(換算75)。広角側は28/21/17の順に なだらかに使用頻度が減っています。操作中にズームが微妙に動いてしまっていることを考慮すると26-40mmに57%の写真が収まっており、35mm前後に限ったときには35%が該当しました。
統一感と変化ということからすると、いっそのこと35mmの単焦点を使ったほうがまとまりがあってよいのかも、変化は撮り方でもつけられますし。または18-35mmも端でズームが止まるので画角を整えやすいはずですね。基本35mm、時々18mmという使い方をするだけでそれなりに撮れちゃうんじゃないのかな? よく考えられてるんだな〜。
構図はどうだった…? 最終サイズの話
データからは焦点距離は標準に整えるのが良さそうに思えます。が、いいなと感じる写真は必ずしも標準域で撮ったものばかりじゃないんですね。その理由のひとつが構図だという気がします。
一般的に構図というと 画面の中にどのように被写体を置くかという話だと思うんですけども、私が思うに、2メートルのポスターとL判とでは見栄えのする構図は違います。そこで大切な部分。細かい話をすっ飛ばしてしまいますが、現代は写真がデジタルになってカメラも普及して、そして閲覧サイズは小さくなっています。
まず写真といえばL判が一般的でした。これは長辺が127mmあります。ところがデジタルの世界では長辺は70mmくらいがデファクトスタンダードです。PCやiPadはもっと大きいと思うかもしれませんが、実はアプリでもウェブでもサムネイル時点では長辺70〜80mmくらいで表示されるのが最も多いケースといえます。
つまり、現代は写真を見るときのサイズが40%以上もサイズダウンしている、といってよいと思うんです。これは個人の範囲だけでなく新聞なども同様です。図書館などで古い新聞を引っ張りだしてみるとわかりますが 昔の新聞は文字が小さくて写真は大きいです。高齢化にともなってDTP界では文字を大きくしているので、その分だけスペースが奪われて写真が小さくなっていると思われます。その証拠ではないですが、欧米の新聞や雑誌には日本ほどの変化はみられません。
そのような小さな写真となると、広角で撮りがちな周辺状況をいれた写真では要素が小さすぎて何が写っているのか一見してよくわからない。こういう視覚表現は1秒でわかるということが重要で、じっくり見なきゃわからないようなら──その役目は文章が果たしてくれますから、ちょっと注意しなきゃいけないんじゃないかという気がします。
今回のようなイベントでは、広角でダイナミックな画を得るためには人物に寄らなきゃならないわけで、そんな邪魔するようなことは難しいと思いました。換算52.5mmでも近すぎることが多々ありましたから、かなり気を遣って撮影してました。もし広報の画を撮る場合でも望遠で圧縮効果を使う方法もあるので、なかなかに構図と画角の関係というのは奥深いものがあります。
ボケとシャープネス
これを最後の項目にしましょう〜。前項とも関係があります。ネットでよく目にする話で、写真を等倍で見たら微妙にぶれてた、なんていいますよね。逆をいうと、閲覧時のサイズが小さくなっている現代では小さなボケではボケてみえない、ということです。
つまり現代では、写したいところは くっきりとシャープに、そうでないところは しっかりとしたボケで表現する、という方向性が強まっているということがいえると思うんです。もちろんこのことは日頃から写真を大きくプリントするような写真ファンには当てはまりません。そうでない人にとってこそボケとシャープネスの対比が大切なものになってきているという話です。
今回、17-50mm F2.8を使ってみて、いいんだけど 甘いかな、自然なんだけど見る物としてはメリハリが足りないかな、とも感じました。画面に大きく映し出したときには とてもいい(自画自賛)と思っても、サムネイルでは十分に伝わってこないんですね。なんでだろう? と考えてみたら、サムネイルではボケが足りないのでメリハリが薄れていると気づきました。
脇道に入りますが、dp2 Quattroの残念に思っているポイントもボケ量、すなわちF2.8スタートだというところになります。先ほどから挙げている写真閲覧の流れはiPhone3G/3GSあたりから始まっています。2008〜2009年頃からの流れです。それはちょうど初代DP1が登場してからの時期と重なります。DP1はF4スタートでしたから 現行モデルが一様にF2.8スタートになっていることは状況に合っているといえますが、しかしながら絶対的にF2.8では表現に足りないことがあるのも事実でしょう。せっかくJPEGであんなに美しいのだから、あとはWiFiとF2くらいのレンズが付いていれば…! と思ったりもします。
もっとも、カメラが売れなくなったとか、大手各社が近年の流れを外してしまったあたり、アンケートに答えないような層の動向をつかむのは難しいことなんだとわかります。iPhoneによる市場変化だけでなく、GoProも08-09年から現在のスタイルを確立した製品ですし、実は売れてるものは売れてるんですよね。どちらも写真界の人間の発想じゃない製品だというところが興味深かったりします。
ボケとシャープネスの話だったのが なんでこうなったのか。それは見る側の人間の行動パターン・生活パターンが変わってきているから、それに合わせた表現が必要なんだってことですね。学生たちはデジタルネイティブですし、写真といえばL判よりプリクラに親しんだ世代なので、やっぱり画の好みが違うはずだと考えてます。
この世代は わりと広角気味でパンフォーカスな画を見てきているので、50mm F1.4みたいな画が新鮮に感じてもらえたりもするのかな〜と。
これはやっぱ、35mm F1.4 Artを買わなきゃ!? 結局そこか!欲しいし!()
追伸。フルタイム マニュアルフォーカスは必要だよ
フォーカスが一番問題だったかもね。いつものことだけどね。オートの精度がなんだかんだと言われてるのを見るんですが、それとは あまり関係なくマニュアルを頻繁に使うんです。
一応、説明すると、被写体を右に置くときと左に置くときとでは、オートフォーカスだと測距点を選び直さなきゃいけないですよね。コンパクトカメラなら中央で測距してロックして構図をするってテクニックが使えましたけど、センサーサイズが大きいカメラでは像面湾曲のせいで通用しないわけです。
だから測距点を選ぶんだけど、SD1の操作系統だと親指で測距点選択モードに入りつつ、人差し指でホイールを回す。それから親指でAFボタンを押して、人差し指でシャッターボタンを押す、という流れ。ぜんぶ右手です。
これじゃ 人物を撮るには遅いので マニュアルフォーカスの出番です。左手でフォーカスリングをまわして、右手でシャッターを切るだけ。簡単。しかも親指が空いてますから絞り優先モードにしておけば深度調整のためだけにダイヤルをいじれる。最高。
でもね、撮影結果を見るまでもなく、17-50mm F2.8では2.5m以上の距離にある対象にピンとがきてるかどうかわかんない。2mくらいまではわかりやすいんだけど、それ以上はダメ。ファインダー上でも人物の顔が小さくしか見えないし、ピントが後方に抜けてしまうことが多々ありました。
そこで、自信がないときはオートフォーカスを使うんですが(薄暗いと どのみち迷うけど)、17-50mm F2.8はフルタイム非対応なので切り換えスイッチを触らなきゃいけない。これが撮影のテンポを悪くしていたなぁ〜と。だってマニュアルとオートという2種類の方法でやらなきゃだから、かえって面倒なわけですよ。他にスウェーバックするようにして連射する方法もありますが、中距離以上だとあまり効果的でないし。
だいたいからして17-50mm F2.8はフォーカスリングが狭い上に ズームリングと隣接してるんです。滑り止めの手触りが同じだから間違って触ることもしばしば(それが原因で焦点距離がずれてる)。私はカメラとか詳しくないんですけど、この造りってオート用レンズってことなんですよね? マニュアルはオマケ程度ってことなんだよね? ようやくわかった気がします。おかげで18-35mm F1.8は全く違うレンズだと気づけました。これこそ置き換えに最高のレンズだろう、なんて。
最近のレンズはフルタイムマニュアルみたいなので、それに加えてズームリングの太さと位置は要チェックです。私はパワーグリップやショルダーストラップのマウントを付けているせいで左手によるレンズのホールドがよくないので、鏡筒部が長めのほうが良さそうなんですよね。それって18-35mm F1.8じゃん。
現状で1.7kgありますから、マニュアルフォーカスのために左手を使うには重量を支えるバランスが重要になってます。左手のほうが重さがかかりますから、うまく支えないとフォーカスリングを回しにくいんですね。でも、これをクリアしておけば縦位置撮影のときでもパワーグリップでの操作感が変わらないというメリットがあるので、マニュアルフォーカスの使い心地はとっても大切なんだとわかった気がします。ちなみに18-35mm F1.8を付けると2kgになります。
気がつけば長々と書いてしまいました。カメラ関係の話って画質のことは多いんですが、操作性とか機会獲得性みたいな観点の話をもっと読んでみたいという気持ちもあったので自分なりに書いてみました。
18-35mm F1.8は真のスピードレンズなのだろうな、とか。でも画的に必要なのは35mm F1.4か、とか。なんせレンズ交換式カメラを持ってるのに2本目のレンズがない状況なので()、ちょっとイカンのじゃなかろうかと思ったり。17-50mm F2.8が実用十分だともいえますが、DPのキレを知ってると物足りなさを感じるときもあるのかな。
フォトキナ近いので参考にしつつ、いよいよ2本目のレンズを用意するか! っていうところです。今回は以上〜。個人的な長文にお付き合いくださりありがとうございました。
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